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伝習会 第70回

伝習会

< 第七十回 >

古稀(こき)杜甫(とほ)(きょく)(こう)』(杜甫47歳の詩)

 (訳…70歳の別称)

~ 人生七十(じんせいしちじゅう)()(らい)(まれ)(希)なり】あまりにも有名な一句ですね。

 「古稀の祝い」というのはここから出た言葉です。杜甫の『曲江』(長安にあった池)其の二をご一緒に謡ってみましょう。

(ちょう)より(かえ)りて日日春衣(ひびしゅんい)(てん)し】(毎日朝廷の仕事が終わると、いつも春着を質屋に入れ)

毎日江頭(まいにちこうとう)()いを()くして(かえ)る】(その金で曲江の(ほとり)で酩酊するまで飲んで帰ってくる)【酒債(しゅさい)尋常行(じんじょうゆ)(ところ)()り】(酒の借金は、普段行きつけの店にはどこにもある)

人生七十古来稀(じんせいしちじゅうこらいまれ)なり】(この人生、七十まで生きられる者は滅多にいないのだから、今の内にせいぜい楽しんでおきたいものだ)

(はな)穿(うが)蛺蝶(きょうちょう)深深(しんしん)として()え】(花の中に蜜を吸うアゲハ蝶が花びらの奥深く見え)

(みず)(てん)ずる蜻蜓(せいてい)款款(かんかん)として()ぶ】(トンボは水に軽く尾を(たた)乍緩(ながらゆる)やかに飛んでいる)【風光(ふうこう)伝語(でんご)(とも)流転(るてん)して】(私は自然に対して言葉を伝えたい。そなたと共に流れて行き)【暫時相賞(ざんじあいしょう)して(あい)(たが)うこと(なか)れ】(ほんの暫くの間でもいいから、この良い季節をお互いに楽しみ合って、背くことのないようにしようではないか)

私にとって【古稀】は、もう手の届くところまで迫って来ました。

光陰矢(こういんや)(ごと)し】とはまさにこういうことでしょうね。

一生に一度の人生、大いに楽しく健康で生きたいものです。

(杜甫は五十八歳で逝去しました) ~

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