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伝習会 第129回

伝習会

〈 第百二十九回 〉

国士(こくし)無双(むそう)司馬遷(しばせん)史記(しき)(わい)(いん)(こう)列伝(れつでん)(【(かん)(しん)】のこと)

 (訳…【国士】というのは、国の中で一番優れている人物のことをいい、【無双】と

    いうのは、並ぶ者がいないという意味です。国に二人といない逸材。天下第一

    の人物。また、マージャンでは役満のこと。)

~ 【(しん)の時代】は始皇帝(しこうてい)が全国を統一しましたが、(わず)か十五年で滅亡してしまいました。その後、【劉邦(りゅうほう)】の【(かん)王朝(おうちょう)】建国に貢献した三傑(さんけつ)(しょう)()】、【(ちょう)(りょう)】、【(かん)(しん)のうちの一人、宰相(さいしょう)の【(しょう)()】が、役職が不満で逃げ出した【(かん)(しん)】を連れ戻した時、【劉邦(りゅうほう)】に言った次の言葉が出典になっています。『あなたが中国の(いつ)地方の王で満足しているなら、彼を用いることはありませんが、天下を取ろうと望まれるなら、彼を重用するより方法はないのです。

まさに【(かん)(しん)】は【国士(こくし)無双(むそう)】と称するに足る人物なのです』と(さと)したのです。

 【(かん)(しん)】は【(しょう)()】に推挙され、漢軍の大将となって【劉邦(りゅうほう)】の天下統

 一に貢献しました。さて、【劉邦(りゅうほう)】に【百万(ひゃくまん)(へい)(つら)ね、(たたか)えば(かなら)()

 ち攻めれば(かなら)(しろ)()る。わしは【(かん)(しん)】にはかなわない】と言わしめ

 た【(かん)(しん)】には、皆さんも良くご存知の次のような故事があります。

1.【背水の陣】(第三回参照)

2.【多々益々弁ず】(仕事が多ければ多いほど巧みに処理する事ができる)

3.【韓信の股くぐり】(若い時、人の股をくぐらされるという一時の屈辱に耐えて、後年大成した)

4.【天の与うるに取ら(ざれば)、かえって()(とが)を受く】

   (天が与えた機会を受け取らないと、逆に天の咎めを受ける。韓信に対する忠告。)

5.(こう)()()して走狗(そうく)()らる。高鳥(こうちょう)()きて(りょう)弓蔵(きゅうかく)され、敵国(てきこく)(やぶ)れて(ぼう)(しん)(ほろ)ぶ】(それまで

役に立っていたものが捨てられてしまう例え)越の重臣であった范蠡(はんれい)の言葉。【韓信】の部下であった蒯通(かいとう)が、【劉邦】に見切りをつけて天下を狙えと忠告したが、【韓信】は聞かなかった。“蒯通の勧めに従わなかったことが心残りだ”と言い残し、【蕭何】の計により処刑された。

6.()るも(しょう)()(やぶ)るも(しょう)()(成功したのも蕭何のお陰、失敗したのも蕭何のせい)教訓

 

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