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伝習会 第102回

伝習会

〈 第百二回 〉

宋襄(そうじょう)(じん)……史記

 (訳…無益な情けを人にかける事。無用の情。的外れの哀れみをかける事)

~ 紀元前8世紀頃の(しゅう)の王朝は衰退し、各国の諸侯が我こそは覇者(はしゃ)たら んと、群雄(ぐんゆう)割拠(かっきょ)の時代でした。その中の(いつ)小国(しょうこく)であった「(そう)」の(じょう)(こう)が、「我こそ諸侯の盟主たらん」との、途方もない野心を起こしました。

 その時、宰相の(もく)()が、「小国(しょうこく)には小国(しょうこく)()(かた)があります。盟主(めいしゅ)にな

  ろうとすれば、(かなら)ず、(わざわい)(まね)きます」といって諌めたが、(じょう)(こう)は聞き入れず、とうとう、大軍の()と戦う羽目になって仕舞いました。

 (おう)(すい)という河を(はさ)んで対陣しました。最初に楚軍(そぐん)が渡河した時、宰相が「敵がまだ渡りきらないうちに攻撃をかけるべきです」と進言したが、(じょう)(こう)はとり上げませんでした。結果は惨敗でした。(じょう)(こう)を非難する声が国中

 から上がりました。その時(じょう)(こう)君子(くんし)(ひと)(やく)(くる)しめず、(れつ)()さざるに()せず】(敵の難儀につけ込むなど、君子たる者のとるべき道ではない)と。

  これに対して宰相は(へい)(かち)()って(こう)となす。なんぞ常言(じょうげん)せんや】(戦 

  は勝つことが目的。この場合、平時の礼儀は通用しません)と、厳しく批判しました。

  一般的には、(そう)(じょう)(こう)愚者(ぐしゃ)(うつ)るが、司馬遷(しばせん)の、(じょう)(こう)に対する

 評価は意外に高い。それは、礼儀の失われた現状を憂えたからで、

 【(そう)(じょう)(こう)】の礼譲の心は、称賛に値する。といっております。

 勿論、(れい)は大切な徳目の一つですが、戦争は勝たなければ意味がありません

 

 

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