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伝習会 第159回

伝習会

〈 第百五十九回 〉

(たま)(みが)かざれば(うつわ)()らず】礼記(らいき)

 (訳…どんな玉でも磨きあげなければ立派な器にはならない。転じて、どんなに素晴

    らしい素質や才能に恵まれても、自分を磨く努力をしなければ、立派な人間に

    はなれない。)

~ この後に、(ひと)(まな)ばざれば(みち)()らず】と続きます。人間は、学ばな

 ければ人として歩むべき道を知ることが出来ない。何事も努力をしなけれ

 ばならないと言う事でありましょう。では、人間の場合、何を磨くのでし

 ょう。〈第二十八回〉にも書きましたが、大きく分けて二つあります。

 先ずは、仕事に対する【能力】です。これを磨かないことには、社会人として通用しません。二つ目は【人格】を磨くことです。いくら能力を磨いても、人格的に劣ったなら、周りからの信頼は得られません。むしろ能力より人格の向上に力を入れるべきでありましょう。

 自分を磨く故事は〈詩経(しきょう)〉にもあります。他山(たざん)(いし)()って(たま)(みが)くべし】(他の山で 

  採れる粗悪な石でも、我、玉を磨く助けにすることが出来る。他人の誤った言行でも、自分を磨く参考にすることが出来る)と。(ひと)()()てわが()(なお)せ】でしょう。同じく〈詩経(しきょう)〉では、切磋琢磨(せっさたくま)で知られています。(せっ)するが(ごと)()するが(ごと)く、(たく)するが(ごと)()するが(ごと)し】も、同じく自分を磨くことの大切さを言っております。この(せつ)は象牙や骨を切ること、()(けず)ること、(たく)(たた)くこと、()(みが)くことですが、四つとも道具や台を必要としています。いわゆる相手が必要なのです。自分を磨く場合も、独りより相手があって、互いに励ましあって磨く方が、はるかに効果的だということを教えているのではないでしょうか。~

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